松尾由美『ハートブレイク・レストラン』光文社文庫

ネタバレ注意。
松尾版「隅の老人」、ファミレスの隅のおばあちゃんが探偵役となる日常の謎連作。
ほんわかした雰囲気の中にも、この作家らしいどこかシニカルな世界観と、理知的なロジックが愉しめる作品集です。目を見張るような明晰さや、感涙のドラマ性までは求められないけれど、そのあたりは「節度」としても捉えられるもので。
中では「走る目覚まし時計の問題」におけるある転回の鮮やかさと、「不作法なストラップの問題」のプロットのまとまりのよさが印象的だった。
評価はＣ＋。

ハートブレイク・レストラン (光文社文庫)