紀田順一郎『第三閲覧室』創元推理文庫

ネタバレ注意。
ある大学の図書館での殺人事件と、そこに収蔵された稀覯本をめぐるビブリオ・ミステリ。
本筋の事件に関しては、ある転回に盲点を衝かれはしたけど、プロットとしての発展性に乏しく、「…だから?」という感じではあった。
かなり細かく描写や設定を凝らして、コッテリした小説ではあったけど、愉しめたのは古本や造本に関するビブリオマニアックなネタだけで、かなりの分量を占める二流私大の人間模様とか、書痴講師の人生の来し方とか、そういう地味すぎるディテール読まされても正直シンドかった。
キャラクタも設定も数だけ多くて渋滞してる。何人かの役割は全部「紙博士」に集約しちゃえばよかったのに…マニアックな故事成語とか吐く紙博士のキャラクタも浮いちゃってんだよな。
評価はC。

第三閲覧室 (創元推理文庫)

第三閲覧室 (創元推理文庫)