ネタバレ注意。
家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第八回課題本。
章立てを共有した同時系列の前作のダイナミックさとは対照的に、プロットにツイストを効かせた、小粋にトリッキィなミステリ。
中学時代以来の再読だったのでほとんど忘れていながら、でも犯人は憶えてたのでなかなかスリリングな読書でした。次作への伏線もまた違った意味でスリリングだけど…。ミスリーディングは相当ギリギリにテクニカルな叙述作法を採りつつ、しかし真相やそれに至る伏線はとてもスマートなので、全体の印象としては「洗練」を感じます。
真相が開示されて以降の展開も、素生関連は夢幻的で美しく、ラストの犀川萌絵のやり取りはキャラクタ小説的に微笑ましく、最後までしっかり愉しめます。途中の刑事視点あたりは若干冗長だけど、奇術師の事件追ってるからしょうがない。
では、犀川先生の愉快な台詞で〆。
「あの学説は今、なら見てもいいな」
(414p)
評価はB+(再読)。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/11/15
- メディア: 文庫
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