森博嗣『幻惑の死と使途 ILLUSION ACTS LIKE MAGIC』講談社文庫

ネタバレ注意。
家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第七回課題本。
初読時(中学生)の印象では他の作品より鮮烈さに欠けた印象だったのだけど、改めて読むと充分に面白いね。状況設定の派手さと、それを落とし込むトリックのシンプルさの対比が心地いい。ハウダニットがフーダニットにスムーズに連結して、さらにはそれが中心的な「イリュージョン」に接続される手つきの鮮やかさが見どころ。さすがS&Mは平均点高いわ。
キャラクタ小説*1としても地元小説としても、すっかり楽しみました。では、その意味でのベスト・センテンスを。

「携帯電話をお使いになればいいのに」
「電話が嫌いなんです」萌絵は言った。「特に、勝手にかかってくる電話が……。そもそも、携帯電話って、使われる側の人間が持つものじゃありませんか?」
(225p)

…この絶妙に不愉快な感情、武井咲に表現できるかなー。懐疑的だよ俺は。
評価はB(再読)。

幻惑の死と使途 (講談社文庫)

幻惑の死と使途 (講談社文庫)

*1:完全に虚を衝かれた加部谷恵! 『キウイγ』の前に読んでたらもっと感動的だったな…成長したなあ、つって。