amazarashi 『ラブソング』

2nd。
10曲入りの2ndフルだけど、うち3曲はポエトリィ・リーディングなので実質7曲。あっという間に駆け抜けるけれど、しかし極めて濃密、amazarashi一流のエモーションの炸裂を聴ける充実作です。
前作『千年幸福論』との比較では、虚構/自己体験の物語性を織り込むことから、より平易で普遍的な、メッセージ性を打ち出す方向にシフトしてきている印象があります。「古いSF映画」のようなフィクショナルな構成は表題曲に仄見えるぐらいですが、しかしそれを欠落と感じさせることのない、ロックとしての喚起力と迫真性はさすが。
非常にシンプルで、その分力強さを増した詩作と、次々に打ち出されるエモーショナルなメロディ、重層的で美麗なサウンドと、何より迫真的なヴォーカルの力。それらが織り上げる楽曲たちの、いずれ劣らぬカタルシス。個人的に今一番涙腺を殴打されるロック・アーティストであります。
陰りと悲しみの色が濃かった前作に比してポジティヴィティを提示する楽曲が多く、その象徴たる「祈り」*1の、悲しみに射す希望の眩さの表現も最高に感動的だけど、個人的なベスト曲は「ナモナキヒト」。

上手く行かない時は 人のせいにしそうなもんで
それを自分のせいにしてる 君は優しすぎるから
駅のホームでも ため息さえ飲み込んで
息を詰まらせているのは 全く君らしいよ
(「ナモナキヒト」)

夜道で聴いたりするとマジで号泣する。十代で聴いても多分こうまで響かなかったと思う…こればっかりは齢を重ねてよかったかも。
ロックに未だ青春の熱気を喚起される、ナモナキヒトたちへの「ラブソング」、必聴。

ラブソング

ラブソング

*1:楽曲の成り立ちも最高にエモいよね。《「僕らは無力だ」と暗闇に祈るのが/本当に無力とは信じないぜ》。