ネタバレ注意。
主人公の女子大生と、所属するミステリ研究会の三人の先輩が、キャンパスライフの「日常の謎」と、主人公と叔父との「遠い約束」が木霊する遺言の謎に取り組む連作。
んー、ミス研という特殊な共同体に対する愛着の点で、もうちょい懐かしく、楽しく読めるかと思ったけどそうでもなかった。やっぱこの人、描写と文章にもうちょっと抑制効かせてくれないとすんなりと読めない。特に三人の先輩をキャラ立てしようと、やたらと戯画的な枠に押し込めようとしてるあたりが、なんだかぶっちゃけ寒々しかった。
堕天使と西部開拓農民の言い争いを公家がなだめた。シュールな光景である。
(74p)
とかさ、シュールとかじゃなくていたたまれないわけ。
こうまで酷いのはそうそうなくても、キャラの造形や描写の端々に筆の上滑りは散見されて。連作としての決着、ラストの手紙とそこに至るミステリを仲立にした「交情」の機微なんて、もっと端整なお話の中でなら一層よかっただろうにと思えるほのあたたかさが認められただけに、もったいないわ。
評価はC。
- 作者: 光原百合
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2001/03
- メディア: 文庫
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