城平京『虚構推理 鋼人七瀬』講談社ノベルス

ネタバレ注意。
本ミスでいいセンいってて、期待したのですがいまひとつ。
世界観やアイデアはとても面白いと思う。都市伝説・怪異が具現化する世界で、その妖しいものどもをネットを媒介にした「想像力の怪物」と位置付け、現実の理として打ち消すために、より説得力のある「虚構推理」をぶつけるという、ゲーム性・思考遊戯性の強い作品。
ただ残念ながら、その肝心の推理、そしてそれが機能する「場」(この場合は「まとめサイト」)があまり魅力的なものになっていない。打ち消される「仮説」として並列されるだけのものになっていて、大トリの「真相」ならぬ「虚構推理」も、カタルシスと特権性において物足りなく感じる。「密室殺人ゲーム」シリーズのチャットルームあたりのが「場」としては面白いけどなあ。
好感の持てる原田刑事あたりと対照的に、いかにもラノベ臭い岩永の言動にイライラしながら読んでいたのだけど、事件解決後の268p、バナナ云々というあまりにバカバカしい台詞ですべてが許せる気がしました。この本における最大のカタルシスはそこでした。
評価はC。

虚構推理 鋼人七瀬 (講談社ノベルス)

虚構推理 鋼人七瀬 (講談社ノベルス)