深水黎一郎『ミステリー・アリーナ』講談社文庫

ネタバレ注意。
嵐の山荘で起きる連続殺人「劇」を、15人の「ミステリー読みのプロ」たちが推理する、多重解決ミステリ。2016年版「本ミス」一位。
ある「劇場型」のフレーム、時系列の中で、多重解決が次々と引っくり返されていく、という試みは、俺ももちろん本格読みのハシクレとして愉しく読んだし、同郷人としてのシンパシィと山形弁ネタ、「アーーーッ!!」*1とかのバカなネタも嫌いじゃないけど、多重解決ものって結局、『その可能性はすでに考えた』にトドメをさされたような気がしていて。あの捨て推理連環プロットは、多重解決という形式にラディカルにクリティカルだったなあと。あれを超えるものが提示されないと、物足りなく思えてしまってね…。
とはいえ胸を躍らせながら、クスクス笑ってあっという間に読み終えましたよ。一番ツボったのは「たま」バレリーナ説ね…バカさ加減はある意味ラディカル。
評価はB−。

ミステリー・アリーナ (講談社文庫)

ミステリー・アリーナ (講談社文庫)

*1:正しくは「アッーーー!!」だと思うが。