ネタバレ注意。
ある作家の原稿から、未解決の殺人事件とその意外な展開が導かれる長編。
そういや猪苗代カブりだけど、こっちのがよかった。なんだか垢抜けない旅情&出版業界ものとして展開しつつ、クライマックスで例のプロットが現出するあたりはなかなか鮮烈な転回。
複雑で野心的なメタ・ミステリだけど、コレをもっとカタルシスのある形で演出することはできただろうし、そうしたら国内ミステリ史上の傑作たり得ていたのではないかと思われて惜しい…この洗練性の乏しさは、新本格以前の時代性か。
でもまあ、こうして復刊されたことでもその価値は証明されていると思いますよ。あとがきも泣けるしな。
評価はB。
- 作者: 中町信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/04/25
- メディア: 文庫
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