『エデンの東』

お正月のDVD。
原作がもう、素晴らしくよかったものですから、映画も苦手なクラシックなれど観てみようと。
原作のほぼ四分の一、キャル視点部分のみの、いわば「抄録」であることは前知識として知ってはいました。個人的には原作の何よりの中枢であると思われるサミュエルとリーが出てこないことも。
なのでゆったりと構えて観ておりました。青春/家族映画として、シンプルなフォーカスがされています。「主題」の部分も、ラストでキャルがアダムにそれっぽい語りかけをしますが、基本的には脇に置かれて。物足りなくはありますが、原作はなんたって大河小説ですから、まあしょうがないよね。
キャラクタもそれに沿ってシンプルに。キャルは原作の謎めいてひねくれた感じを抑え、ナイーブだけど素直で、一本気な好青年と見えましたし、役割の比重が増したアブラも、「語りすぎ」のヒロイン然として、ちょっと新鮮でした。でもジェームズ・ディーンも名を知らぬアブラ役の女優さんも、ハマっていい演技だったと思います。
アロンはただ感じ悪く、アダムもただのわからずや。アダムは本来、若干現実遊離した不思議系なんだけど、そうじゃないからこそ病床にあってはさらに痛々しい。
まあ、総じて原作の質量からして若干の物足りなさはありますが、青春/家族映画の、今観ても退屈しないクラシックとして、また伝説の映画スターの史料として、価値のある作品と思います。
気に入ったシーンはキャルがブランコ乗ってるシーンと、ラストで看護婦が「出てけ!」とか言われて憤然としながら、しかし静かにドア閉めるシーンかな。後者、あんな言われようだけど職業意識は高いと見た。静かーにドア閉めとるよ、二回中二回ともw

エデンの東 [DVD]

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