『色即ぜねれいしょん』

@センチュリーシネマ
なかなかでした。
アイデン&ティティ』がそうだったので予想はしていたのですが、題材や原作、出演者の割に、サブカル臭さやスラップスティックは抑えめで、ごく真っ当な青春音楽映画でした。田口トモロヲという人の志向性が、きっとそういうところにはないのでしょうね。親和性は非常にあるとは思うのだけど、それに反して。
さて、気になった点。ヒロイン・オリーブ役の臼田あさみさんが、似非関西弁含めてどうもうまいこと活かされていない感じがして。純に抱きつくシーンが二つともどうにもまったく「重み」がないし、特に二つめはそんなんでいいんかと思いましたが。演出の問題かもしれない。個人的には好感を持っている人なので(マジモンのロック好きだし)、残念でしたが。
その他、期待半分不安半分で見守っていた岸田繁は、意外といい味出してました。ヒッピー崩れの家庭教師で、主人公をロック喫茶に連れて行ったり、いいお兄ちゃんになる役。まあ、役がいいな。全共闘崩れのユースホステルのヘルパー、峯田もさすがの異形の存在感。つかあの人の喋り聞いてると、なんか山形懐かしくなってくるね。
母親役の堀ちえみ(オリーブとの初対面シーンはこの映画最高に笑える)も、父親役のリリー・フランキー(役がかっこよすぎる)も、それぞれとても素敵でしたが、なにより主人公・渡辺大知の存在感には出色のものがありました。役者として、青春映画の主人公としての「いなたさ」もよく出せていたと思うけど、なによりハイライトのライヴシーンの説得力は、彼のロック・アーティストとしての天性を雄弁に示していたと思います。多分放っといたら興味を持たなかったであろう黒猫チェルシーというバンド、なんかやたら気になってきました。
あとはヤンキーのヘッドのコもかっこよかった(でも案の定、役がよすぎる)。