薄井ゆうじ『くじらの降る森』講談社文庫

ネタバレ特になし。
いつもの薄井流現代ファンタジィです。
村上春樹的な、静かで不思議な作品世界は、まあ心地よくはあるんだけど。今回はちょっとナルシスティックな成分が強く感じたし、女性キャラが皆アクが強くて好きになれなかった。なのであまり印象はよくないです。
「くじら」というメイン・モチーフの使い方もなんだか中途半端だなあと思った次第。最初は「父性」の象徴であって、エディプス・コンプレックスの克服みたいな方向にいくのかと思ってたら(それはそれでありふれてつまらないけれど)、それが後半どんどんいろんな意味が輻輳して、ぼやけてしまったような印象がありました。
評価はC。

くじらの降る森 (講談社文庫)

くじらの降る森 (講談社文庫)