上野正彦『死体は知っている』角川文庫

ネタバレ特になし。
三作目で、このシリーズも持ってるのは最後です。
普通こういうのってネタが枯れてくもんだと思うけど、あまりそういう印象はないですね。多分あまり深く考えてなくて、思いつくままに書いてるのが奏功してるんだろうね。あまりお上手ではない小説的再現があったりして、ノリノリな感じです。
心臓の左右心室の血液の稀釈差で溺死判定するとか、トリビアルに面白い部分もあった。でも、案の定のキメセンテンス、《やはり社会的最小単位である家族のあり方から出直さなければ、この問題は解決しないのではないだろうか。》(62p)の、なにも解決しない空論ぶりには失笑してしまいましたけれど。ほぼまったく同じ文で三度目だ、このシメ。
評価はC。

死体は知っている (角川文庫)

死体は知っている (角川文庫)