野沢尚『呼人』講談社文庫

ネタバレ注意。
不老不死の身体になった少年と、その友人たちの辿る人生。少年期から、「大人」として生きる近未来が描かれる。
中心となるSF的想像力の周辺に、ジュブナイル、冒険小説、未来予知小説と様々な意匠が纏わされてある。一生懸命プロット考えて書いたんだろうなーというのは伝わってくるけど、それぞれが本当に「考えた」骨格だけで生き生きしてない、結果としてファンタジィとしての瑞々しさも、SFとしてのシビアな提示もできずに、中途半端に落ち着きの悪い小説になってしまっているように感じる。クライマックス、「母」との邂逅における、その意味不明な自分語りの長広舌はその象徴だ。赤軍派なんて、せっかく俺のツボ衝いてくれたのに。
あと野沢さん、放射能の驚異に晒されたのは他ならぬ日本だったし、ユーロは全然弱いし、西野朗は相変わらずガンバの監督やってます…。
評価はC。

呼人 (講談社文庫)

呼人 (講談社文庫)