ネタバレ特になし。
最初期作品集で、初出は福武書店だってさ。
世界観の静謐、「滅び」に傾斜していく退廃的な引力、僕が知る小川洋子という作家の一面の魅力は感じ取れます。しかし文章はまた随分、「若書きの饒舌」という印象が強くて、全体的なテーマ性においても、「肉体性」や「官能」という、「純粋な抽象」とは真逆のものを前面に立てているように感じました。
「そこにあるもの」あるいは「かつてそこにあったもの」を追い求めていく作品の志向は、今リアルタイムで読める彼女の作品のそれとは異質のものに感じ、作家史的な変遷が見られて面白かったです。
…ただ、作品の傾向としてはやはり最近のものの方が好みだなあと思います(そんなに読んじゃいないのだけど)。その意味で、一番それらしい「冷めない紅茶」がよかったかな。
評価はC+。
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/11/01
- メディア: 文庫
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