『ミルク』

連休最後のDVD。
いい映画でしたね。感動的でした。
ガス・ヴァン・サントの映画にあまりいいイメージがないんだけど*1、今回は抑制が効いていい演出だと思いました。アートに寄るわけでもないけど*2、70年代のレトロサイケな色彩感はよくでていたし、ドキュメンタリ的な挿入映像も効果的だったと思います。ラストもベタだけど素敵で、完全に落涙しました。
ショーン・ペンの演技もまた、「熱演」という単語からは遠くフラットで、でもさすがの侵食力があったと思います。別に超人でもカリスマでもないハーヴィーという一人の男が、苦闘しながらも信念と連帯でムーヴメントを起こしていき、その中でまた様々な葛藤と悲しみを引き摺っていく様が、自然に、普遍的なドラマとして形作られています。モブシーンや演説シーンで徒に高揚を煽らなかった監督の演出も貢献していたと思うのですが、そうした抑制の効かせ方が、ラストのキャンドルウォーク・シーンの感動に繋がっていたのではないでしょうか。「社会派」とか「英雄譚」とか大仰なコピーとは離れて、一人の人間が人々を愛し、また愛された記憶として。
で、一番びっくりしたのはダン・ホワイト役のジョシュ・ブローリンなんだけど。この見事なクルーカットの小人物、どっかで聞いた名前だと思ったら『ノーカントリー』のルウェリンじゃん。あんなにハードボイルド・ヒーローしてたルウェリン、俺の中で真逆の人間なんだけど…なにこの演技の幅w

ミルク [DVD]

ミルク [DVD]

*1:多分『ラストデイズ』のせい。

*2:唯一クリーヴが電話掛けまくるとこぐらいか?