ネタバレ注意。
処分銘柄読書を始めてから、散々読んできた柴田作品ですが、コレはいい部類の作品です。『少女達がいた街』かコレか、という感じ*1。
京都の郊外、退廃にまどろむ富豪の邸宅に展開する「家政婦は見た」。全体に抑制の効いた筆致で、小出しにされる各人の抱えた謎と秘密。若干恩田陸的な風情があるので好きだったかも。
ミステリとしての大きなプロットも野心的で、新聞にボールペン挟むとことか細かいとこも小粋なトリックがあって。でも瑞恵の直子に対する激情がいまいち飲み込めない*2とか不満もあるし、完成度とカタルシスは並程度と思う。でも解説でも触れられてる「ねむり姫」メタファの処理がラストで逆説的にキレイに決まっていて、うまく「まとまり」をつくっていました。
うん、佳作と呼ぶにぴったり。考えられた作品です。
評価はB。
- 作者: 柴田よしき
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/05
- メディア: 文庫
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