天祢涼『あの子の殺人計画』文春文庫

ネタバレ注意。

母親から虐待を受けている少女・きさらの「殺人計画」を描く長編。

非常にシンプルな仕掛けだし、小説としての主題も重ねれば、正直すぐに狙いは見えてしまう。ただそうして伏線や仕掛けを早い段階から露わにしつつ、読者を物語と…きさらと伴走させることも、この骨絡みの主題にとって必然のあり方であるのかもしれないとも感じられる。作者がずっと向き合ってきたテーマだけのことはある。

ただ演出が十全に機能しているとは言えず、宝生の存在ももっとドラマティックに導入できたのではないかと思えて惜しかった。

評価はC+。