ネタバレ注意。
女子中学生の死と、その「犯人」として逮捕された同級生の少女。事件の背後の真相を、エリート刑事と生安少年係の女性警官のコンビが追う長編。
優れて社会派の作品でした。自分の来し方を振り返り、それがいかに恵まれたものだったかを思いながら、「この問題」についての憂いは深い。
このシンプルで、だからこそ少女たちの心情がダイレクトに伝わる物語で、作家はそれに真っ向から向き合っていると思います。ネガとのぞみの関係性はピュアで微笑ましくて、だからこそ切ない。
真犯人の意外性や、二人が死に傾斜する部分の描写など物足りなさはあるけど、それよりもこの真摯さと、それが現出させたもの…それを何と表しても偽善的だったり軽佻だったりで難しいが…、あえて言えば「いたわしさ」を刻んでおきたい、いい作品でした。
評価はB。