ネタバレ注意。
栢山高校「黎明祭」の前日に起きた密室殺人をめぐり、関わる生徒たちの視点・時系列を入れ替えながら描かれる、学園群像・青春ミステリ。
文章もキャラクタ造形もノーブルで、心地よく読めるのは学園ミステリとして貴重なところ。そしてそれがクライマックスに至って、犯人の造形と「動機」をめぐるドラマ、シンプルなハウダニットと犯人特定のロジックと綯交ぜになって、独特の「恐ろしさ」「哀しさ」を現出させている。
地味さは否めないところだが、青春ミステリの佳品と呼ぶに充分な品質。個人的には國武が久保田の推理をこき下ろす言い草が最高だった。
俺は今、思い出したよ。お前は数学が得意なのかもしれないけど、所詮は俺たちと同じ文系クラスだってことを。
(362p)
評価はB。
- 作者: 村崎友
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/09/22
- メディア: 文庫
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