井上真偽『恋と禁忌の述語論理』講談社文庫

ネタバレ注意。

主人公が巻き込まれるいくつかの事件を、なぜか周辺に多士済々と存在する名探偵たち(「その可能性は~」シリーズの上笠丞含む)が解決し、さらにはそれを美貌の天才論理学者にして叔母・硯さんが論理学を用いて再検証する、という連作。メフィスト賞受賞のデビュー作。

ラノベ/ラブコメ意匠で和らげてはいても、やはりこの題材はマニアックすぎたような…。各々の論理展開には面白いものがあるし、論理学に対する知的興味も喚起されるし(それが十全に満たされたかは自身の不明もあって微妙)、連作通した仕掛けにも、『その可能性は~』に通じるような、繊細さとダイナミズムのハイブリッドを感じられるしで、後のブレイクと作家性の萌芽を感じられる、充分な佳作とは思うのだが。

なんかやっぱり、ちょっとトガりすぎかな…。

評価はC+。

恋と禁忌の述語論理 (講談社文庫)

恋と禁忌の述語論理 (講談社文庫)