木村元彦『徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男』小学館文庫

ネタバレ特になし。

広島に生まれ、被爆のハンデを克服して日本代表となり、東洋工業マツダを通じて多くの門下生を育て、Jでは名だたる「育成の広島」を築き、そして岐阜の地で夢破れたサッカー人の評伝。

もちろん個人的筆頭は小林伸二だが、育てた指導者が揃いも揃って名将揃いで、「育将」のなし得た仕事の大きさが実感されます。著者の筆はそうした多士済々を生き生きと描き出していて、久保竜彦や(森山佳郎経由での)平繁のエピソードなど、あまりにもらしくて笑ってしまった。

そうした正のエピソードとの対比で、岐阜での苦闘には胸のつまる思いがする。その時期には高名を存じていたので、あのぐらいの人でもうまくいかねーんだな、なんてハタから見ていたけど、こんなことがあったのね…どこにでもクソ野郎っているんだよな…。

評価はB。