浦沢直樹「20世紀少年 22」小学館ビッグコミックス

ウッドストック出してきたか…。
確かに20世紀の総決算として、これ以上なくふさわしく、そして感動的な演出だと思う。それが、きちんと演出されているのであれば。
おそらく、「ともだち」の催す「万博」に対するカウンタカルチャの象徴としての「ウッドストック」という構想は、初期段階で浦沢のなかにあったものだと思う。この美しい構図は評価する。しかし「物語終盤において、伏線とエピソード構築が雪崩をうつように緊密性を欠いていく」という彼の悪癖が、この長編漫画最後の大花火であっただろう「フェスティバル」を、なんとも空虚なものにしてしまっている。ケンヂの唄の力についても、集った群衆のモチベーションについても、浦沢の描写は空疎だ。20世紀の総決算というよりそれは、「団塊の世代への媚」としてすら捉えられてしまうようなもの。
短期集中連載らしい「最終章」にも、あまり期待はできまい。

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (22) (ビッグコミックス)

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (22) (ビッグコミックス)