tha BOSS 『IN THE NAME OF HIPHOP 2』

ソロ2ndフル。

劈頭「HOLD ON」が衒いのないアグレッシブなマインドでアゲてくれて嬉しくなってしまいますが、そこから15曲に間断なく溢れるリリシズムと音楽の描き出すもの、様々な生活実感の豊かさが、全く枯れることを感じさせないのがさすがのところ。

幸せになりたい 今日がダメでも明日に そんな人達と共にありたい
へこたれても立ち止まったりしない そんな人達の張り合いになりたい
たまに旅先 見知らぬ街並み 人混みに紛れて暮らしたり
だけど根っこのとこはずっと変わりはしない サウイフモノニワタシハナリタイ
(「サウイフモノニワタシハナリタイ」)

そりゃこんだけの歴々も腕まくってfeat.とBeatsに名連ねるよな、というところ。やはり「STARTING OVER」は歴史的一曲ではあろうが、「STARS」も素晴らしいよ。ちょっとWonderfulだと思う。この曲聴いてる時の優しい気持ちはなんて名付けるべきものなのか。

田んぼ道で見上げた 星が今 目の前 三重も札幌も 同じ時を刻む
そして次はオレも誰かにとっての星を担う 今も導くのは 俺を照らす STARS
(「STARS feat.JEVA」)

トラックもそれぞれ粒立ってて、ラッパーの表現を一層フレッシュに盛り立てているように感じられる。その意味ではYOUちゃんも若返ってて素晴らしいと思ったよ。コピペの中にいるだけの存在じゃないってところを見せてたよ。one of STARSだよ彼も。

そうして仲間たちと連帯した楽曲に微笑んだり涙ぐんだりしながらも、個としての内省と、そこから放たれる宣言に何より深く撃たれるのは変わらず。

無いなら創る 居ないならなる それだったら出来る そこは変わらず
差し伸べられてた愛が解らず 答えは憎しみじゃないってことは解る
昔ほど会わなくなった仲間と久々会う 闘ってたのは俺だけじゃなく
留まらず 溢れる言葉がある 水たまりの向こうに月が輝く
(「YEARNING」)

ラスト「YEARNING」で謳われる覚悟と確信が、俺がまだ生活に必要としている音楽の、そのほとんどすべてだなと思います。