4th。
前作がいまひとつだったのでこの前の二枚のコンセプト・アルバムも聴かなかったのですが、後輩が誕生日プレゼントつってくれたこちら、なかなか好印象の作品でした。でも、誕生日7月です。
劈頭「深朝」から、ヒリつきとスケール感が感じられて、一日のグラデーションを織り込んだ曲構成、ラストのタイトルチューンから連環する世界観、前作ではあまり感じられなかった、『十七歳』の後の風景、というものがしっかりと「見える」アルバム。実際『十七歳』は未だに偏愛の作品だけど、ああいう「青春」に振り切った作品てのはある意味で異端であり、ロックバンドとしての実力、あるいはポップセンスの真価は、この作品で初めて確固たるものとして示されたように思います。
まあなんだかんだ言ってても、聴いてて気持ちよく、なにより「踊れる」ってことがベボベというバンドの真価だと思っているので、特に「short hair」以降のキラーチューンでたたみかける展開は、ニヤニヤしてしまうほどにキマっています。
僕はいま僕のことだけ 僕がいま僕のことだけ
考えられればきっと、それで終わるのに
なぜだろう 君のことだけ 浮かぶのは君のことだけ
君の短い髪に触れて気付いた気持ちがすべてだった あの日のこと
(「short hair」)
ポップセンスでくるんでいても、仄かに滲んでしまうキモさが愛らしいポップ・チューン「short hair」*1、フロア沸騰必至のダンス・ロック「Tabibito In The Dark」に「yoakemae」、リリカルなメロディセンスが際立つ「kodoku no synthesizer」、前曲からの陰陽の対照が鮮やかな直球のロック「ヒカリナ」、さらには史織タンのコーラス堪能の「夜空1/2」*2、さらにそれを従えて鳴らされるラストの大曲、「新呼吸」のスケールと世界観の充実。
ポップセンスのキレで勝負していた「永遠の新人」みたいな印象の、それがまた好ましかったバンドでしたが、ロックバンドとしての世界観の深化がはっきりと示された、まさに充実作です。
- アーティスト: Base Ball Bear
- 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
- 発売日: 2011/11/09
- メディア: CD
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