R.P.ファインマン/大貫昌子(訳)『ご冗談でしょう、ファインマンさん』岩波現代文庫

ネタバレ特になし。
ノーベル賞受賞の理論物理学者のエッセィ集。
昔よく売れたらしいけど、さもありなん。稚気と好奇心、ユーモアに溢れ、芸術と女性をこよなく愛する、著者の魅力的な人柄が伝わってくる好著です。
一貫して、ノーベル物理学賞受賞者、というイメージからなる「天才願望」を満たしてくれるキャラクタが愉しいけど、音楽への愛情を表明して最もエキサイティングなブラジル滞在の章が、教育論・科学批評としてアツいものになってもいるように、批評的な問題意識においても意義の深い本だと思いました。
日本に対するリスペクトやシンパシィも嬉しいところだけど、それをマンハッタン計画に携わっていたという自意識と結びつけて語ることほど野暮なことはないだろう。だって当該章、「ロスアラモス高校学園祭」みたいなノリだものw
評価はB。

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)