桜庭一樹『荒野』文春文庫

ネタバレ注意。

鎌倉に住む女子中学生、山野内荒野の、12~16歳にかけての恋と成長を描く、ビルドゥングス・少女小説

いや、字義通りの「少女小説」で、よかったっす。かわいらしく、嫋やかで、儚げであって、一抹のあやうさの漂う、主人公とその周囲の少年少女たちの造形が素晴らしい。作家がキャラクタたちを愛して、彼ら彼女らを物語ってあげたくて仕方ないのが伝わってくる。

蓉子さんがパーティで「帰ってくる」シーンとか鮮烈だったな。こどもはみんなオトナだし、おとなはみんなコドモだな…。

五木寛之とか読まなかんのかと思ったよ。ハングリー・アートって単語を知れたのがよかった。

評価はB。

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