ネタバレ一応注意。
東南アジアの貧困、東欧の戦争廃墟、東アフリカの飢餓、ロシアの闇、儒家の精神と慰安婦の記憶…そうした世界を「食」で貫くルポルタージュ。
硬質で思弁的な文体で綴られる、気骨に満ちたルポ。四半世紀を経て、ここにある悲劇や悲しみはあるいは解決せず、あまつさえ繰り返されてもいる。そうした人間の愚かさに暗然としてしまうが、ものを食う、というそれを超えた人間の根源のインパクトが世界に引き込んでくれる。
さすが読み継がれるべき、印象の深い本でした。
評価はB。
- 作者:辺見 庸
- 発売日: 1997/06/20
- メディア: 文庫