二階堂黎人『宇宙神の不思議』角川文庫

ネタバレ注意。
水乃サトル学生編の第二長編。
宇宙神」信仰の新興宗教の陰謀と、アブダクション体験をネタにした、島荘流の奇想解体型の謎解きだけど、「どーせ手術だろ」「どーせ外国だろ」つって簡単にネタは割れるし、また半陰陽LGBTの取扱いが、全編覆った軽佻浮薄なノリのままに、どうにも浅薄で軽率なものに感じられ、鼻白むところ大でありました。別に良識派気取るつもりはないし、作者の人格に対する懐疑が先入観としてあることを差し引いても…。
しかし文庫版700p超、どうでもいい描写・展開が多過ぎて、短編でもいいぐらいのネタが無駄に肥大し過ぎ。逆に作者の人格が疑われる(こればっか)エクストリーム警察批判とか、ざます口調の女性キャラとか、シオンくん(と作者)に狂気を感じる拷問シーンとか。
殺人の動機が弱い、なんて普通の感想もどこかに吹き飛ぶ、ナチュラルにマッドな世界。
評価はC−。