ネタバレ一応注意。
催眠療法と、多重人格がネタのサイコ・サスペンス。
小学館だし、もっと軽佻浮薄なエンタテインメントかと思っていたのだけど、意外とストーリィは地味。多く頁が割かれるのは、精神医療・カウンセリングの臨床場面における、様々な葛藤や倫理観といったもの。真面目な本でしたね、結構。
しかし作者がこれまで「催眠術師」としてメディアで垂れ流してきたイメージ…この本でまさに糾弾されるところの…を鑑みれば、「どの口が言うねん!」という話だし*1、そもそもストーリィがつまらないのとキャラクタに魅力がないのは、いかんともしがたい。というか、新堂冬樹的なチープな悲喜劇が、作品の啓蒙要素から説得力を奪ってしまっている、そんな印象。
評価はC。
- 作者: 松岡圭祐
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1999/04
- メディア: 文庫
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*1:もちろん実相寺の設定なんて自嘲たっぷりだろうけど。