樋口有介『夢の終わりとそのつづき』創元推理文庫

ネタバレ注意。
柚木草平シリーズの長編。
元は単発の、主人公も別だったという長編を、草平くんを主人公にリライトしたという作品。そのためか、モテモテはいつものことにしろ、チョメチョメするのもロシアの女スパイだの、引退したトップモデルだのだし、メインの事件もエイリアンの仕業をにおわせて進行しつつ、実は未知の新薬が絡んでいたりと、なんだからしくない、よく言えばダイナミック、悪く言えば大雑把でバブリィな印象のプロットだった。
ラトーニャに対する、草平くんの激情もらしくないなあ…らしいのは夢子嬢のファニィで魅力的な造形と、可奈子女史の毎度見事な箴言ぐらいのもの…ってやっぱり女絡みじゃねーか。
まあ、小説家としての基礎体力は揺るぎないものがあるので、シリーズの異色作として愉しめる作品ではあります。
評価はC+。

夢の終わりとそのつづき (創元推理文庫)

夢の終わりとそのつづき (創元推理文庫)