土屋隆夫『土屋隆夫推理小説集成 4 妻に捧げる犯罪／盲目の鴉』創元推理文庫

ネタバレ注意。
選集四巻。ここに来て、二長編の統一性は崩れてきた感じ。
「妻に捧げる犯罪」はオフビートな倒叙もの。スリラめいた読み心地はこれまでの長編では目新しいが、「犯罪」に傾斜していく心理を拙速に感じて、のめりこめなかった。
「盲目の鴉」は田中英光や大手拓次など、興味を惹く名前がフィーチャされて、すわ北村薫ばりの文芸ミステリ読めるんちゃうかとガッツリ期待したけど、残念ながらだんだんそれから離れてしまって、色恋沙汰に端を発した早業トリックの復讐譚になってしまって、ぶっちゃけガッカリした。
評価はＣ＋。

妻に捧げる犯罪・盲目の鴉―土屋隆夫推理小説集成〈4〉 (創元推理文庫)