今邑彩『七人の中にいる』中公文庫

ネタバレ注意。
雪のペンションで行われるクリスマス・パーティに、過去の一家鏖殺事件が影を落とす、サスペンス・ミステリ。
お話の運びはいかにもクリスティ・リスペクトって感じで、プロットもそれに沿ってなんとなく期待されるものがあって、端的には『そして誰もいなくなった』と見せかけて『オリエント急行』か、なんて愉しい期待が膨らんだのでした。
なので実際のサイコ・サスペンス的に凡庸な(ゆえに分かりやすい)真相が仄見えてくると、そんな勝手な期待が萎んで、ちょっとテンションは落ちてしまいました。それじゃないといいな、なんて思いながら読む感じ。
でもまあ、サスペンスとして一番大事なリーダビリティは担保されているし、中公文庫の今邑彩は平均点高いな、という印象は変わらず。
評価はC+。