高木彬光『わが一高時代の犯罪』ハルキ文庫

ネタバレ特になし。
神津&松下の第一高等学校時代を描く、シリーズ前日譚。表題作と「輓歌」の二中編。

シリーズのスピンオフとして、戦争直前の青年知識階級の精神史として、またその時代を舞台とした特異な青春ミステリとして、それぞれに希少価値の認められる作品だとは思うけど、しかしトリック/プロット共にアゲてくれるものではなかった。

その印象も、前に読んだ作品でその思想性に鼻白んでしまい、ハナから懐疑的に読んでたのもよくなかったかも。前作から尾を引いた印象が、一高生たちの青春模様を描く筆にも、そこはかとない選良意識を感じさせてくれもして…

まあそんなのは、単純なルサンチマンかもしれませんがね。

評価はC。