高木彬光『成吉思汗の秘密』ハルキ文庫

ネタバレ注意。
源義経=成吉思汗」説を、神津恭介が立証せんとするベッド・ディテクティヴ長編。
歴史解釈に目新しさは感じられないし、史料も孫引きだったりで牽強付会に醒めることが多い。実際にアプローチしてきた読者を作中人物として登場させて、その説を特権化してるのもなんか痛々しかった。
そういう印象の悪さも、単純に説とその筋道の付け方の問題だけじゃなくて、大麻鎮子さんって女性キャラの描写と取り扱いに象徴的な、かなり独善的で封建主義的なパーソナリティの印象が全体を覆ってるからだと思う。普通のミステリではあまり感じなかったのに、悪い意味で印象変わったわ。
右翼的島荘…なんつったら島荘に失礼だわな。
評価はC。