ネタバレ注意。
マジシャンのグループに連続する殺人事件を描く、名探偵神津恭介シリーズ。
メインとなる轢殺のトリックは、その怪奇性が解決に転じてはとてもシンプルで収まりがよく、これぞ本格のトリックと唸りました。とてもよかった。
最初のマネキンの首消失のトリックは、最初に思いついてそのショボさにこれじゃないといいなーと思ったものがそのまま真相だったりしたけど、こっちはまあ枝葉の類だからね。
ただ小説としては、時代性や舞台立て道具立ての割には描写が淡白で、おどろおどろしさやケレン味に乏しい印象があったのはちょっと残念だったかも。まあそのあたり、本格の正道を往かんとするストイシズム、その端正な成果と評価すべきものかもしれないけれども。*1
評価はB+。
- 作者: 高木彬光
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2000/03
- メディア: 文庫
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*1:なんか『刺青殺人事件』の評では真逆のこと言ってるしな…。