ネタバレ特になし。
『眠れぬ夜の殺人』に続く、「捜査0課」シリーズの第二長編。
プロットだけ取り出してみれば、特段のケレンも大きなカタルシスもない。しかし様々に視点と角度を変えながら、次第に輪郭を描出されていく「謎」の、その見せ方の手つきがあまりにも流麗で、ページを繰る手が止まらない。体感的には90分で読了、このリーダビリティは正に職人芸ですね。
岡嶋作品、いつも同じ感想だけれども…。しかしヘタな、というか単に志向の異なる作家であれば、様々にドラマを背負った幾人かの視点人物たち、それぞれを掘り下げて三倍くらいの長さにはしてしまいそうだけど。それだけの余白を残しつつ、シンプルに「謎の物語」を彫り出していくそのストイシズムは、やはり独特の魅力であり、かっこいいと思います。
評価はB−。
- 作者: 岡嶋二人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/07
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (5件) を見る