多島斗志之『海賊モア船長の遍歴』中公文庫

ネタバレ一応注意。
十七〜十八世紀、インド洋を中心に描かれる「海賊小説」。
世界史のお勉強的な興趣もあるし、海洋冒険小説としてキチンと組み立てられているしで、マジメな印象の小説。
ただなんか、端正さから転じた「大人しさ」が勝ってしまって、物語の躍動感とか、キャラクタの破天荒な魅力とか、「海賊小説」に求められるべきダイナミズムに乏しく感じられてしまったのは残念なところ。
独特の改行作法があったりで、文庫なのに二段組という珍しい造本。ボリュームも充分だけど、どうせならジパングあたりにまで足をのばして欲しかったようにも。
評価はB−。

海賊モア船長の遍歴 (中公文庫)

海賊モア船長の遍歴 (中公文庫)