芦原すなお『新・夢十夜』創元推理文庫

ネタバレ一応注意。
漱石の顰に倣った、夢テーマの短編集。
ヒューマンドラマ的にも、ホラー的にも、サイコサスペンス的にも見所のある、ヴァラエティ豊かな作品集だけど、まず第一義的には、全体を貫く、幻想小説として字義通りの夢幻的な読み心地に、確かな小説技巧と作家性の発揮された佳作と言えましょう。個人的な嗜好にズバリとはいかなかったけど、よい小説を読んだという満足感があります。
こういう畑違いの他社親本を文庫にしてくれる、創元の心意気や良し。
評価はB−。