小野不由美『魔性の子』新潮文庫

ネタバレ注意。
十二国記』の外伝にあたるらしい(読んだことないからね)学園ホラー。危害を加えると祟られるという、ある男子高校生をめぐって。
地方都市の男子高、という舞台設定がまず懐かしいものを感じて入りはよかったんだけど、全体的な印象はあまりいいものではなかったな。基本的な文章・描写、ストーリィの運び、いずれも端整である程度の完成度は認められるけど、主人公・広瀬*1を筆頭に、キャラクタの造形がブレたり阿漕だったり*2、若干ラノベ的な短絡を感じる場面が多かった。
文章もところどころ微妙*3だし、逃避願望といった主題も十分に深められているとは到底思えない。
パニック・ホラー的には悪くないような気もするんだけどな。残念。
評価はC。

魔性の子 (新潮文庫)

魔性の子 (新潮文庫)

*1:熱低いかと思えば基本的にアツい。ぶっちゃけキモい。

*2:後藤の造形ってかなりイタいよね。誰も言わないの?

*3:《それはあまりにも、電車の中で酔漢が喧嘩するシーンを目撃した人間の反応に似ているような気がした。》(52p)?