盛田隆二『ストリート・チルドレン』新風舎文庫

ネタバレ一応注意。
こないだ読んだのがアレだったので期待してなかったんだけど、なかなか面白かったです。あらすじに惹かれて新刊買ってた俺ナイス。新風舎じゃもう手に入らんからな…つっても処分するんだけどね。
1699年、故郷を出奔して「内藤新宿」に辿り着いた青年から始まる、「新宿」において300年を流転する一族の、生と性の物語。
血族のサーガであり、都市のサーガである。常に社会の異端者である一族の面々、それを包容してしまう「新宿」という都市、いずれも魅力的に描かれている。その流転・変遷の過程こそがこの小説の主題、あるいは存在そのものだとは分かっているが、しかしあまりに物語として閉じなさすぎだろうという思いはあった。もともとプロット立てて書いた小説ではないとのことだし、だからこそこの密度と勢いがあって、ないものねだりだとは思うのだけど。
ベルカ』や『サウンドトラック』、古川日出男作品に通底するような意識も感じられるが、古川の物語には落とし所とカタルシスがあったよなあ。
評価はB。

ストリート・チルドレン (新風舎文庫)

ストリート・チルドレン (新風舎文庫)