ヒキタクニオ『凶気の桜』新潮文庫

ネタバレ特になし。
渋谷を舞台にしたピカレスク/ヴァイオレンス小説。
窪塚主演で映画*1にしてたよね、観てないし観ないと思うけど。
主人公を「ナショナリスト」として設定したのを新奇性と捉えられるのかもしれないが、結局カラーギャング(響きがもう懐かしい)の一種としてしか見えないのが残念なところ。物語通して印象に残るのも、青田や兵藤といった古き良きアウトローたちの生き様で、主人公たちなんてぶっちゃけ雑魚だし。『消し屋A』とは読む順番が前後してしまったけど、三郎さんの凄味もなかなかでした。
まあでも、こうしたアウトロー書かせたら花村萬月のが巧いと思うし、都市青春小説としてはIWGPシリーズのがエンタテインメントしてるしいとおしいよね。
ちょっと中途半端に感じる小説でした。
評価はC。

凶気の桜 (新潮文庫)

凶気の桜 (新潮文庫)

*1:監督が解説書いてるけど、いやはや読むに耐えないイタさ。