ネタバレ特になし。
コメディ・タッチのクライム・ノヴェル。
…「よくできて」はいると思う。でも、それ以上でも以下でもない。この人の小説はいつもそんな感じ。
リーダビリティは認められる。キャラクタはいかにも「魅力的」に演出されており、いざ事件が走り出してからのスラップスティックぶりも愉しい。全体のテンポ感、スピード感も心地いい。
…でもそれらが、どうにも人工的な印象もまた与えてしまう。「魅力的」なはずのキャラクタには思い入れを見出せないし、没入を手ぐすね引いて待ち受けている物語にものめり込めない。
技巧が没入を拒む小説ってのはたまにあるんだよね。そうしたものが技巧と呼べるのかどうかは、分かりませんけれど。
評価はC+。
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/11/17
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (96件) を見る