待望のカップリング・コレクション。
前々から出せ出せ言っていて、やっと出ました。もちろん散漫ではあるけれど、その分多彩な充実が聞こえてきます。
それぞれがc/wとして収められた音源は持っていなかったのですが、特に「湯気」と「コスモタウン」は、ロックンロール・チューンとして素晴らしい高揚感を湛えています。ライヴDVDなんかで散々既知で、観るたび完全無欠だと思っていましたが、こうして聴いてもやっぱり完全無欠でした。なんでこれをシングル切らんかったんや。
「小さなキラキラ」の珠玉のセンチメントや、「迷迷ひつじ」のポップでくるんだアイロニー、「風」の詞世界そのままの浮遊感、「意気地アリ」の雄々しさ、「バスロマンス」や「Good luck my sister!!」に広がるハピネス。彼女たちのロックの豊かさが如実に露出した作品集ですが、特に新鮮で印象深かったのは「リアル」や「Y氏の夕方」、「決まらないTURN」に「春夏秋」といったあたり。ほとんど初聴に近いというのもあるのですが、こういうへヴィネス担当は、なかなかシングルにもアルバムにも珍しいので新鮮でした。そこらの男子バンドを吹いて飛ばす、時に地を這うような、へヴィな音像でゴリゴリ攻めながら、そのくせメロディや歌唱、詞世界はそれに染まらず自分たちの色なのです。なんと言うか、大げさですけど「高潔」な感じがします。ザ・オルタナティブ・ロック・バンドです、チャットモンチー。
Disc2は「横顔 Acoustic Version」と題された、アコースティック・アレンジ・コレクション。無駄なライヴ設定や前口上にニヤリとしつつ、特に「ハイビスカスは冬に咲く」の変拍子の変態性、「バスロマンス」のメロディとギターフレーズのパーフェクトさが、よりラディカルに堪能できました。「バスロマンス」はライヴがよすぎるというのもあって通常の音源でのアレンジが物足りないので、こういうヴァージョンは嬉しいです。「サラバ青春」は、言うまでもなくハマりすぎ。
- アーティスト: チャットモンチー
- 出版社/メーカー: KRE
- 発売日: 2010/03/24
- メディア: CD
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