amazarashi 『あんたへ』

5thEP。
やっと最新音源に追いついた。ちなみに音源全部買ったのでこれ以降は遡ります。
「雨曝文庫」と題した歌詞カード兼用のリーフレットに「CD版あとがき」として記された通り、「メッセージソング」としての本質がダイレクトに出た作品。その基調をなすのはこれまでで最もシンプルで衒いのないリスナへのメッセージを歌い上げた…氾濫する有象無象とあえて同じカテゴライズをすれば「応援歌」である表題作と、ポジティヴで優しいポップ・ナンバー「終わりで始まり」の二曲。「匿名希望」の攻撃性や「冷凍睡眠」*1の緊張感にも惹かれはするけれど、この作品はその二曲。
「あんたへ」は弾き語り時代からの楽曲でもあるようで、「終わりで始まり」も共に歌詞もメロディもアレンジも非常にシンプルだけど、それにこれだけの説得力と喚起力を持たせられるってのは、唄い手としての何よりの資質の証明であると思います。だって「終わりで始まり」なんて、歌詞とメロディだけ取り出したらヘタしたらファンキーモンキーベイビーズだよ。空疎なポジティヴィティを押しつけてくる商業音楽*2への最高のアンチテーゼであり、表現の根幹にあるメッセージを《(TSUTAYA入口の)ワゴンセール》(「匿名希望」、括弧内補足)で投げ売りされるものにしない、矜持と確信を忍ばせた「爆弾」です。
確信つーか、確信犯。

あんたへ(初回生産限定盤)(DVD付)

あんたへ(初回生産限定盤)(DVD付)

*1:しかしライヴはハイライト的によかった。虚構の完成度においても、ポエトリィ・リーディングにおいても最高作に近い。

*2:ちなみに最近耳についた中で最も酷いと思ったのはこの曲