amazarashi "LIVE TOUR 2014 「あんたへ」"

2014.1.18@名古屋クラブダイアモンドホール
最近amazarashiしか聴いてないと言って過言ではないほどに聴いてて、既発のレコ評も書く前だなーと思いつつ行ってきました初ライヴにしてワンマン、ダイアモンドホール
結果的に、とても満足できるライヴではあったのだけど、もっともっとできるだろう、泣けるだろう、というのは個人的な二大涙腺決壊曲、「ナモナキヒト」と「パーフェクトライフ」が含まれないセットだったから、というわけだけでもなく。
ウワサは聴いていましたが、ステージとフロアの間に紗幕を張り、リリックやMVを映し出すヴィジュアルな演出が施されつつ、またライティングによりメンバの顔と表情を陰にするという独特の演出、最初は物珍しさに惹かれて観られたし、確かに「つじつま合わせに生まれた僕等」のスケール感や、「冷凍睡眠」の緊張感に貢献していたとも思うのですが、それでもたとえば「千年幸福論」など大仰に感じられる部分があったし、amazarashiの音楽と歌声には、そうした演出を遥かに超えた魅力があると思ったので、それをもっとダイレクトに、身体で感じてみたいと思ったのでした…身体でリズムを刻むことさえ憚られるような、微動だにしないオーディエンスの謹聴の様相の最後方にて。
別にモッシュしたいとか言うわけでもないし、個々人が聴きたいように聴けばいいんだし、独りスーツのオッサンだからとかそういう自己韜晦で勝手に縮こまってんのなんてお笑い草だけど、「ジュブナイル」や「匿名希望」や「空っぽの空に潰される」や、もっと喚起される感情に身体が勝手に動くような空間であっていいのではないかと、それを演出や空間構成の面で阻害している部分があるのではないかと、正直一面の歯痒さを感じもしたのでした。
音源ではあんなに盤石のヴォーカルも、さすがに掠れたり高音で伸び切らなかったり裏返ったり、でもそうした不随意な要素が楽曲にさらなるエモーションを付与してもいたり、ライヴならではのダイナミズムも感じることができたのでなおさら。その意味でベストはやはりラストの「僕が死のうと思ったのは」の弾き語りで、これは圧巻の表現でありました。俺の前で録音してた奴らは死ねばいいけど、その前にその音源欲しいです。
もっともっと大きなハコで、この「うた」のエモーションが炸裂してほしいし、そうなった時ライヴの空間がどう変容していくのか、今後も絶対追いかける、そういうバンドになってます。
あと「ことば」の占める比重の大きい音楽表現なので、初見の楽曲でも詞を追いながら曲を味わえるのは美点ですね。まずは予習、とか無駄な時間をかけずに、とにかくライヴで浴びるに足る、力強い歌でした。
セットリスト:1.まえがき 2.ジュブナイル 3.奇跡 4.つじつま合わせに生まれた僕等 5.ドブネズミ 6.夏を待っていました 7.匿名希望 8.あんたへ 9.真っ白な世界 10.冷凍睡眠 11.空っぽの空に潰される 12.無題 13.千年幸福論 14.終わりで始まり 15.あとがき 16.僕が死のうと思ったのは