東京60WATTS 『nowhere』

数えてみたら四枚目のフル・アルバム。
前作から引き続いた傾向ですが、歌モノに完全に特化した楽曲構成になっていますね。以前はもっとファンクやブルースやジャズの、黒い要素も目立っていたのですが。「俺は黒人だ」なんて曲があったりして。
いきなり流麗なピアノが美しい巻頭曲「通り雨の交差点」、シンセの音色が独特のリリシズムを湛える「君と海へ」、のびやかなメロディにのったまっすぐなメッセージが胸を打つ「わかってる」、よくある死者視点ながら、完成度の高い詞とメロディ、思いっきり泣かせに振り切ったアレンジで聴かせる「明け方の街」…。
楽曲と演奏の完成度は相変わらずハイレベルで粒揃い、フォーク的な叙情性や東京という都市における土着性、そうしたバンドのキャラクタもその中にちゃんと咀嚼されていると思う。
…だけどなんか物足りない感じはあって。なんかまとまりが良すぎるんだよな。もっと突き抜けてたり、遊んでていいと思うんだけどな、このバンドは。そうした中から「昇天」のような楽曲も生まれてきたのだろうと思うし。
まあ、ないものねだりだということは分かっています。
あとなんか、iTunesに落とすとタイトルが変なので印象悪い。

nowhere

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