東京60WATTS 『サヨナラトーキョー』

5thフル。
活動休止から5年を経ての再始動。
5人いたメンツも3人になり、様々な挫折や喪失を経ての不可避的な変化へのセンチメントを、10年以上前のインディーズ期から聴いているリスナは胸に滲ませてしまうのですけど。
目白通りいつも通り」や「外は寒いから」にあった、東京という街に過ごす感情と感受性の物語は、それがリアリティを失ってしまったことを感じさせはして、それが変化らしい変化とは言えるでしょう。しかし「さよなら東京」という曲が一曲で象徴しているように、そうした喪失を経てもなお、歌いたい歌や語るべき物語はあって、一味違ったセンチメントとリリシズムは、彼らの音楽にまた深みをもたらしてくれています。

ポケットの中はものであふれて
何かを捨て 何か拾って
僕らどうだろう この街で何を
あきらめて何を手に入れたのか
(「さよなら東京」)

そうした感慨の一方でまた、コミックソングの類はまた相変わらずなのも微笑ましいところではあるのだけど…つかちょっと、コミックソングの比重高すぎないかw 多分同期残すの「内緒話」「さよなら東京」「60wの灯りの下で」だけだわw
…まあでも、かつての青春期の心情に、リアルタイムでジャストフィットな歌を唄ってくれた、僕にとっては特別なバンドであり、彼らがこの年代に、またこうして変わったものと変わらないものを鳴らしてくれるのは嬉しいことです。「60wの灯りの下で」、特にたけしの語りは涙なしに聴けないね。
願わくはこれからも、グッドメロディと流麗な鍵盤に乗せた、たけしの人懐っこい歌声と、一緒に年をとっていけたらと思っています。

サヨナラトーキョー

サヨナラトーキョー