ネタバレ注意。
本格畑で評判のいい作家なので読んでみました。同郷のよしみもありつつ。
で、ネタは少年犯罪、その精神科臨床に叙述トリックを絡めて。
描写は丹念でかつ過不足なく、好感のもてるものだった。タイトルとプロットの絡みや、寓意的に描かれる少年たちの世界、小技の効かせ方もなかなかに小粋。だけどネタ自体は、当然想定される範囲をまったく出ることなく終始してしまい、やや物足りなさの残る処理。
心理的な描写を主として、その転回に重きを置く創作作法は、併録の短編にもその志向を窺うことができる。西澤保彦の非SF作品に近いものを感じる。言うまでもなく好きな志向性なので、今後も読むと思います。
評価はC+。
- 作者: 深水黎一郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/01/30
- メディア: 文庫
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