西澤保彦『赤い糸の呻き』創元推理文庫

ネタバレ一応注意。

ノンシリーズ短編集。

西澤らしい、グロテスクな人間心理が推理と絡み合った好編揃いです。「お弁当ぐるぐる」はスマートにまとまったパズラ、物部太郎パスティッシュ「墓標の庭」も、プロットは読み易いけど、その中に盲点を衝かれる心理描写の妙が光る。「対の住処」には最も怖気のする犯人の造形があったし、表題中編はエレベータの停止した暗闇の中という状況設定の下、事件の犯人の心理とそれを推理するガクブチの人物たちの心理が二重構造になる小粋な展開が見事。

このブラックさ、さすがだわー。好きだわー。

評価はB。

赤い糸の呻き (創元推理文庫)

赤い糸の呻き (創元推理文庫)